「揺れと浮遊感で誘う」波や流れ、小さなヨレに敏感に反応し、水流の変化でふらつく姿はまさにまるで弱ったベイトフィッシュ。そんな動きを体現する、タックルハウス シンキングシャッド70のインプレッション記事をお届けします。
釣り場で「今日は渋い…」と感じた時、ルアーBOXに忍ばせておきたいルアー。それがこのシンキングシャッド70です。
まず惹かれるそのルックスとスペック

実はこのシリーズには70mm/13gのノーマルに加えて23gモデルという “HW(ヘビーウェイト)” も存在。飛距離・レンジを少し変えたい時に選択肢となります。
シンキングシャッド70
ルアーを手に取った瞬間、まず目を引くのがその扁平ボディ、そしてノンリップという仕様。
メーカーの説明によると:扁平ボディ&ノンリップ。スローリトリーブでの自然なアクションを追求。シンキングペンシル特有のS字軌道に加え、不規則にロールの入ったウォブリングアクション。
70mm/13gという扱いやすいセッティングで初心者〜エキスパートアングラーにもおすすめ。
シンキングシャッド70HW
シンキングシャッド70のヘビーウェイトモデルも押さえておきたいルアーです。
- 全長:70mm
- 自重:23g(ヘビーウェイトモデル)
- タイプ:シンキング(シャッド型)、ノンリップ
- パターン:扁平ボディによるS字軌道+ウォブリング&不規則ロールアクション
- 主な潜行レンジ:約60~80cmミドルレンジ(状況により変動)
シンキングシャッド70のカラーラインナップ

カラーラインナップも充実しており、ベイトフィッシュのサイズ・状況に応じて選びやすいのもポイントです。 この段階で、「ただ巻くだけで魚に口を使わせられそうだな…」という期待が膨らんできます。
“動き”で魅せるシンキングシャッド70の演出力
シンキングシャッド70はアクションレスポンスがよく、スローでもしっかり泳ぐ。S字軌道に加え不規則にロールの入ったアピール度の高いウォブリングアクションはここぞで活きます。
ベイトの量が少ない、魚の追いが浅い、そんな“食わせ難い”状況こそ、このルアーの真骨頂とも言えます。
・扁平ボディによる面積大→水流変化に敏感。
・ノンリップ設計→「浮遊してるベイト/逃げ遅れたベイト」の印象を強く演出。
・スローリトリーブでも機能する設計。
これらが相まって、魚の咥えたくなるスイッチをオンにするルアーへと昇華しています。
使うべきシーン&“釣れる”実感

具体的に、どんな状況でこのシンキングシャッド70が真価を発揮するか。いくつかのキー条件が見えてきます。
ベイトが小さいとき

ヒイラギ、サッパ、アジ、ハク〜イナッコといった小型ベイトが主体の時。扁平ボディが演出する“弱った小魚”感がハマります。
浅場やベイトが撃たれにくいレンジ

メーカーの製品紹介ではこのように書かれています:
「流れが肝となるベイエリアや、河口のゲーム…ベイトフィッシュがサッパ、ヒイラギ、海タナゴ、アジといった体高のある魚の時にはさらに効果的。」
浅いレンジで、魚が散った後に残った“最後のベイト群”を演出するのに、非常にマッチするシチュエーションです。
こんな時はヘビーウェイトモデルが活躍する

ヘビーモデルがあることで、攻略できる要素は倍になります。2サイズをローテーションへ組み込んでみましょう。
飛距離+ヘビーウェイト

ヘビーウエイト・23gという数値は、「軽いルアーでは届きづらいポイント」や「潮の流れの影響を受けやすい場所」を積極的に狙うための仕様です。案外、シーバスゲームでは“届く/届かない”が分かれ目になることが多く、ここをクリアしてくれるのがこのモデル。実際、「多角的な攻略範囲拡大のためのウエイトUP!!」という商品説明もあります。
ミドルレンジ攻略(60〜80 cm)

多くのシャッドやミノーが「浅め」「中層」「深め」をカバーする中、60〜80cmというレンジをきっちり意識してくれている点が実釣において“効く”ポイント。例えばボイル後の散りベイト、河口・港湾部の流れの変わり目など、やや深めのレンジで“居るのに出ない”“口を使わない”シーバスを拾える機会が増えます。
選択を増やすHWモデル

釣りにおいて「いつもと同じルアー、同じ角度、同じスピード」でうまくいかない日こそが、腕の見せどころです。そんなとき、セッティングを変えずともルアーの仕様や特性を交えるだけで、ゲームの流れを掴めることがあります。シーバスゲームの中で「もう一枚下を狙いたい」「この流れ、ひょっとすると逆を取れるかも」という瞬間に、シンキングシャッド70HWを投入すれば、その一歩先を実感できるかもしれません。
「今夜はどこを通すか」。その答えとして、この1本をBOXに入れておく価値は十分にあります。釣果という“結果”だけでなく、ルアーを通して感じる“流れ”“変化”“魚との駆け引き”を増やしてみましょう。
タックルセッティング&使い方のコツ

次は、より実践的に「どう使うか」「どう感じるか」の部分を掘ってみましょう。
■タックル例
使用例は:
- ロッド:シーバスロッド9.6ft
- リール:4000番
- ライン:PE0.8号+フロロリーダー4号
というセットで「問題なし」
もちろん、河川や港湾でも同じようなセッティングで流用できます。
■使い方の手順&意図
- キャスト → 着水後リフト orカウントダウンでレンジを刻む
- スローリトリーブ → ラインを張らず緩めず巻く。ロッドポジションは任意で調整する。
- リトリーブバリエーション → ストップ&ゴー、トゥイッチ併用もOK。動きで変化を出す。
- フォールで魅せる → ノンリップ設計ゆえ、フォール中にも水を切るボディが“ヒラヒラ”と魅せます。魚が思わずバイトしてしまう“間”を作ります。
■注意点・弱点
- 塗装がやや弱めという声あり。個人的には普通といったレベル。
- 荒波や強風にはやや弱く、条件を選ぶ傾向がある。
- ノーマルとヘビーモデルの併用で“万能型”「ノーマルモデルは限定された状況で爆発力を発揮する」タイプ。
“なぜ釣れるのか”を深掘りするために実際に使ってみた

数あるルアーの中で“シンキングシャッド70”がなぜユーザーに支持されるのか。その理由には“魚を喰わせるための設計思想”が詰まっています。
シンキングシャッド2タイプの飛距離は

シンキングシャッド70は、簡易に計測すると50m前半といったところで必要十分だといえます。ヘビーモデルは60m後半の飛距離をコンスタントに記録して、狙ったポイントへ気持ちよく飛んでくれます。
◎扁平ボディと流れへの反応

通常のシンペンやミノーと比較してボディが扁平。これにより水流を受けやすく、小さなヨレや変化で“ふらつき・揺れ”が発生。魚の目線では「弱ったベイトが流されている」ような印象を抱きやすく、反射的なバイトを誘いやすいという構造。
◎S字+ウォブ+ロールの三位一体アクション

ただ動くだけでは魚は口を使いません。釣れるルアーは“ベイトらしさ”をどれだけリアルに演出できるかがカギ。シンキングシャッド70では、S字泳ぎ+ウォブリング+不規則ロールが組み合わさることで“生命感”を強く持たせています。これが「弱った・逃げ遅れたベイト感」を演出。
◎スローリトリーブで狙える“間”と“誘い”

魚がスイッチを入れず、追いが浅い状況では“テンポを落とす”ことが重要。その点でもこのルアーは有利。ノンリップ+扁平設計により、スローでもしっかり泳ぎ、フォール時の動きも自然。つまり、魚が“食べやすい”動きになるのです。
釣れない含みを釣れるポテンシャルに変える一本
釣りの世界では「渋い」「難しい」と感じる時こそ、面白さがある。それは、「誰でも釣れる」状況ではなく、「手応えを自分で作る」状況だから。そんな時に頼れる武器があると、心強いです。そしてこのシンキングシャッド70は、まさにそんな武器のひとつ。
私自身、数回の使用で「この状況ならコレだ」という確信を掴みました。ベイトが小さい、魚の活性が低そう、でも確かに魚影がある。そんな時、キャスト1回目から反応が出る。その瞬間がたまりません。
「釣りって、こういう瞬間を待ってるんだよな」と改めて思わせてくれる。そんなルアーです。
もしあなたが、「今日は反応が薄いな…」「何を投げてもバイトが出ないな…」と感じた時、ぜひこのシンキングシャッド70をタックルボックスから取り出してみてください。ひとつセッティングを変えるだけで、流れが変わることがあります。
さあ、次回の釣行ではこの一本を携えて“静かなる誘い”を試してみてはいかがでしょうか。
そして、その結果が“魚を引き出す瞬間”となることを願っています。


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